有限会社 エコ・ネット

大自然の中で育んだ豚で競争力の高い生ハムを開発

新商品にかける熱き思い

「本物の味に衝撃を受けました。」初めてハモンセラーノを食べた時からその味が忘れられず、生ハム商品開発への思いは常に頭の片隅にあったという。「市場は輸入品に独占されています。日本のマーケットに国産が入り込めないわけがない。しかし国内で非加熱のハムの開発は難しいという概念があり、躊躇していました。」エコフィード飼料と放牧で育てた豚で、競争力の高い商品を生み出したい一念で道筋を探った。

有限会社エコネット代表取締役 三浦浩さん

開発商品の内容 本格的な生ハム製造

約7ヘクタールの敷地面積を誇る、大鰐町郊外にある循環型農業体験施設「おおわに自然村」。 その一角に設営された特注コンテナの中に整然と吊るされているのは、生ハムの原木。施設を運営する㈲エコ・ネットが取り組んでいる生ハムには、同じ敷地内で飼育された豚が使用されている。  「世界3大生ハムの一つ、スペインのハモンセラーノの製造工程に習っています。」と話すのは、生ハム製造の指揮をとっている三浦社長。標高300mの冷涼地は、生ハムづくりに適した環境だという。 20㎏にもなる骨付きのもも肉をたっぷりの塩で漬け込み、1?2年間乾燥・熟成させることで、味わい深い生ハムとなる。 現在はまだ製造量に限界があるため、一般には流通していないが、提携している弘前市内の飲食店で味わえるほか、同施設において「生ハム塾」を開校している。 完成までの工程のうち初回の作業を体験してもらい、熟成までの管理を行っている。2年目には生ハム原木が手に入るとあって、飲食店関係者にも好評だ。

長期間寝かすことで旨味が増す生ハム
1年間熟成させた原木

事業化までの道のり 大手メーカーに対抗できる加工品を

同社は廃棄物収集運搬が本業であり、スーパーやコンビニなどから出る廃棄弁当などの食品残渣を利用した飼料づくりにも取り組んでいる。 平成20年から、製造したエコフィードを使った養豚を始め、食品リサイクルループを構築。大自然の中でストレスなく育てた豚で、肉みそソースやソーセージなどの商品開発もしてきた。 しかし、豚肉加工品は競合他社も多く、抜きん出ることは難しい。「新たな商品として考えていたのが生ハムです。熟成には温度や湿度が重要となるため、街なかでは製造出来ないこともあり、大手メーカーには作れない。 生ハムならば、ソーセージと違って大手に対抗出来るのではないかと。秋田県で生ハムを製造している工房があるとの情報を得て交渉したところ、指導の了承をいただき、本事業に踏み切りました。」

エコフィードと放牧で昔ながらに飼育される、その名も「レトロポーク」
商品リサイクルループ実践体形

助成金活用の経緯とメリット 新たなチャレンジに必要不可欠

食品リサイクルループ実現のため、これまでも各フェーズで助成金を活用してきたという三浦社長。元気チャレンジは、採択事業のニュースを見て知ったとか。助成事業を「次の段階を目指す上で、ありがたい存在。」として申請。 採択の後押しを受けて、ノウハウの習得から新事業をスタートさせることが出来た。「2年間にわたり秋田県に通って製造過程を学びながら、製造に必要な熟成庫などの設備や環境を整えました。」  通常、乾燥する冬期間に仕込むのがセオリーだが、通年製造の可能性を探るため、春から秋にかけても仕込みを実践。季節ごとに最適な熟成温度の研究にも取り組んだ。  完成まで時間がかかるため、成否の結果がわかるまでは少なくても2?3年を要する。「助成がなくなったら事業も終わりでは意味がありません。」予期せぬ出費にも耐えられるよう、しっかり資金計画を立てて臨んだ。

特注で作られた生ハム専用熟成庫

今後の事業展開 量産体制の構築と人材育成

県内の催事などで開発した生ハムのPRに努める中、飲食店からの引き合いも多く、需要や品質への確かな手応えを感じている。「量産化に向けた生産体制の構築が急務です。」 量産にはこれまで以上に広い施設が必要になることから、現在その候補地を探している最中だという。  そしてゆくゆくは、「若い人たちに技術を伝承し、生ハムマイスターを育てたい。」と、次世代を担う人材を育成していきたい考えだ。

日本酒にも合うことから、地酒との商品コラボも期待したい

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企業プロフィール

  1. ■企業名有限会社 エコ・ネット
  2. ■所在地青森県弘前市大字清水森字清水野2
  3. ■TEL0172-87-0188
  4. ■代表者名三浦 浩
  5. ■従業員数12名
  6. ■資本金1,000万
  7. ■採択年度平成23年上期
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