新商品にかける熱き思い
「いかに時代の流れを読んで、最先端の技術を確立していくか。」を常に考えているという池澤社長。これからの高齢化社会、クラウドを活用した情報共有と遠隔医療のニーズを見極め、舵を切った。「Android開発も県内では弊社が一番早く取り組んだと思います。ここ八戸市から日本全国、そして世界へAndroidの技術を発信していきたい。」自社商品開発のプロセスで得た新たなノウハウを、今後大きく飛躍させたい考えだ。
(株)サンライズ・エー・イーが開発した「Family Safety plus(ファミリーセーフティプラス)」は、医療機器と連携させたアプリケーション。 家庭用IP電話や通信用タブレット(Android端末)に血圧計や体重計を無線接続し使用することで、測定したデータを画面上で管理することが出来る。 また、データをクラウドへ送信することで、離れた場所からでもインターネットを介して同じデータを閲覧することが可能で、「離れて暮らしている家族による健康状態の確認や、 医療関係機関等による遠隔医療サービス用の端末アプリケーションとしても利用可能です。」と池澤社長。自己管理のほか、遠隔モニタリングによる高齢者の健康維持、在宅療養のサポートといった活用方法も期待される。
測定したデータは週単位で全データを閲覧出来るほか、グラフ表示が可能で、測定値の移り変わりを瞬時に把握することが出来るのが特徴だ。 「病院や高齢者施設での実証実験でも、毎日の健康状況がビジュアル化される点は高く評価されました。」長期的なフォローアップに力を発揮するだけでなく、手書きの必要がないため、 手間が省けると同時に記入ミスも防げるとあって、実験に協力した医療関係従事者からも好評だったという。
組込みソフトウェアの一括請負開発をメインに事業を展開してきた同社に訪れた転機―。 「リーマンショック時、発注元の景気に大きく左右されたことをきっかけに、自社商品の開発を始めました。」経営の安定化を図るため、これまで培ってきた組込みソフト開発のノウハウを活かし、独自の商品開発に乗り出した。
最初に誕生したのは、単身世帯とその家族が安全・安心な生活を送れるよう支援するアプリケーション「Family Safety (ファミリーセーフティ)」。離れて暮らしている家族の安否を毎日簡単に確認出来るほか、 緊急時にはワンタッチで家族へ通報する機能などを搭載。池澤社長自身が単身赴任の身であったため、「実際に必要と感じていたもの」をカタチにしたという。
その後、高齢化が進む中で地域包括ケアに必要なシステムとして考え出されたのが、クラウドを活用した医療機器連携アプリケーションである。
Android開発にいち早く着手した同社。「時代の流れに乗り遅れることなくスタートが切れたのは助成事業のおかげです。」保有するノウハウや技術が宝の持ち腐れとならずに済んだと語る。
助成金をフル活用して、神奈川県横浜市で毎年開催されている世界最大級の組込み総合技術展「Embedded Technology」にも出展。組込み技術の最先端テクノロジーとソリューションを一堂に集めた展示会で、2万人以上の来場者に対して大いに開発技術をPRすることが出来たうえ、Androidベースの開発依頼が増加したことも成果の一つと考えている。
高齢者施設向けの機能に対応したシステムや、セキュリティ機能の充実にも取り組み、使用範囲を広げたアプリケーションの開発も進めている同社。現在、シリーズの実用化を目指している。 「多機種医療機器との連携を進めつつ、ゆくゆくは電子カルテなど診療情報とのデータ共有化を実現したいと思っています。」
企業プロフィール
- ■企業名株式会社サンライズ・エー・イー
- ■所在地八戸市北白山台2-8-35
- ■TEL0178-70-1081
- ■URLwww.sae.co.jp
- ■代表者名池澤 昭博
- ■従業員数22名
- ■資本金1,500万
- ■採択年度平成23年下期