新商品にかける熱き思い
講師として現場に立って8年。テキストを買ってトライはしてみるものの、独学に挫折してスクールを訪れる人が多い現状を知る。「専門用語が並ぶ文字ベースのテキストをなくしたかった。」という思いから、デモ動画に行き着いた。「お客様のニーズを捉えることができる講師が開発に携わったことで、資格取得だけでなく、すぐに実践できる内容を盛り込むことができた。」と振り返る。
主にパソコンやIT関連の資格取得を支援するスクールを展開する(株)ソフトキャンパスが、「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(通称:MOS) 」資格取得のための支援ソフト「パスナビ」を開発し、販売している。同資格は、ワード・エクセル・パワーポイントといったMicrosoftOffice製品の利用スキルを証明する、マイクロソフト社認定の世界共通資格だ。今やビジネスシーンには欠かせなくなったパソコンスキルを証明する人気の資格で、多くの企業が資格取得を推奨している。
「パスナビ」はパソコンにインストールすると、本試験同様の出題形式で学習できるソフト。試験問題をほぼカバーする140問が用意されており、解答となる操作を行うと、すぐに正解・不正解がわかる仕組み。また、1問ごとに問題解説と、正解となる操作のデモ動画機能を搭載しているのが最大の特徴だ。「テキストを使用せず、ディスプレイだけで完結できる作りになっています。」と杉田マネージャー。参考書を片手にパソコンに向かう学習方法は過去のものになりそうだ。
同社のスクールでは現在、本ソフトを使って授業を進めており、合格率が上がる嬉しい効果が出ている。「本試験とほぼ同じ仕様で再現してあるので、あらかじめ試験画面に慣れることができます。本ソフトを使って何度も繰り返し学習することで、万全の体制で試験に臨めるものと思います。」
同社はこれまで、国や県が主催する再就職支援事業などの企画・運営にも携わってきた。「就業意欲は高いが職業訓練などの学習の機会が得られない、インターネットを介した学習ツールは環境が整っていなければ利用できないといった声を聞いてきました。」専門用語が羅列する既存の学習テキストに敷居の高さを感じてしまうパソコン初心者や、学習時間が限られるといった社会人。「誰でも・いつでも・どこでも、時間と場所を選ばずITスキルを身につけることができるソフトの必要性を感じていた。」という。
事業化にあたり、青森・弘前・八戸・十和田・仙台にあるスクールから1名ずつ開発メンバーが選出されプロジェクトチームが組まれた。「毎日の講義を通して、どういう問題が間違いやすいのか、どうすれば覚えやすいのかといったことを把握している講師陣が開発に参加したことが事業化成功のポイント。」というように、効率の良い学習方法を知る指導者が事業推進の核となったことで、かゆいところに手が届く内容のソフト開発を実現できたようだ。
事業を本格化させると同時に助成金の情報収集を始め、元気チャレンジを知ったという同社。申請・採択から1年で販売までこぎ着けた。
プロジェクトチームで構成を組み立てたのち、「操作画面デモ動画の作成、プログラムへの組み込みと動作検証は専門業者にお願いしたため、これにかかる経費に助成金を充てました。もし採択されていなかったら、もっと開発に時間がかかっていたと思います。」と、開発にかかる資金調達の難しさを語る。
社会人の必須アプリといわれるMicrosoftOfficeだが、進化も早い。「現在、2013バージョンに対応する支援ソフトの開発を進めており、間もなく発売できる見込みです。」と、こちらもスピード感を持って追随している。
また、「今回の取り組みに手応えを感じ、他の資格取得を支援するソフトの開発も検討しています。」と杉田マネージャー。合格率や学習時間の短縮といった効果が出ていることにも後押しされ、人気の簿記や医療事務といった資格取得に対応する教材にも応用していきたい考えだ。
企業プロフィール
- ■企業名株式会社ソフトキャンパス 青森校
- ■所在地青森市緑3-9-2 サンロード青森3F
- ■TEL017(773)6655
- ■URLhttp://www.softcampus.co.jp
- ■代表者名木村 加奈
- ■従業員数60名
- ■資本金1,000万円
- ■採択年度平成25年度上期