新サービスにかける熱き思い
「この世にないものを創ろう」を理念に、これまでも独創的な商品を生み出してきた鎌田社長。斬新すぎるがゆえに、「丁重に断られることもありますけど。」と笑う。業界の慣習を改善する斬新なアイディアと高付加価値商品で、これからも業界を牽引していきたい考えだ。
「インターネットは一番不得手な分野です。」と笑うのは、豊富な水産資源を誇る八戸市で水産加工業を営む(有)マルキョウスマイルフーズの鎌田社長だ。「夜遅くまで営業している飲食店の料理人は、朝早く市場に出向くことなく、家で寝ながらにして仕入れが出来るシステムです。」と説明するのは、同社が開発した鮮魚直販システム「sakanaX(サカナックス)」のこと。朝一番で水揚げされた水産物がサイト上にアップされ、それを会員が購入する仕組みのeコマース(EC)システムだ。
鮮魚を求める飲食店とっては、仕入れのために市場に通う手間が省けるほか、パソコンやケータイで専用サイトにアクセスし、気に入った商品をカートに入れるだけというシンプルな注文方法も魅力。手軽なうえ、注文した翌日には新鮮なまま商品が手元に届くとあって、一般の会員も増えていったようだ。
同ECサイト構築にあたっては、「市場調査や運営ノウハウの習得に、元気チャレンジの力を借りました。」という。地元の八戸学院大学に、魚の仕入れに関する調査や流通販売システムの需要調査などを依頼。その結果を受けて、新たな流通システムの構築とサイト運営のノウハウをコンサルティング会社を通して学んだ。
平成23年3月に起きた東日本大震災によって全工場が被災。多大な被害を受けた同社だが、災難はそれだけではなかった。「宮城県女川町の得意先が倒産し、新規取引先を見つける必要があった。」と、当時を振り返る。
そんな中、インターネットの普及によりこれまでの市場を経由しない消費者と生産者が直結した取引きが可能になっていたことから、消費者と同社の間で直接取引が成立する可能性を考え始めたという。
これまでインターネットを介した商品販売の経験がなかったことから、まずはネット市場の実情や見込客の把握など、主に事前マーケティングを事業内容とした取り組みを元気チャレンジに申請。採択を受けたことで、同業界では類を見ない流通販売システム構築に向けて動き出した。
助成金の使いみちは、新システム構築のための準備段階にあたる調査・分析、サイトを運営するためのノウハウ習得と人材育成だ。「この前段階がなければ、構築事業は進まなかった。」と、リサーチや準備がいかに大事かを語る。 「専門機関に委託する資金を援助してもらい、未知の世界に足を踏み入れることが出来た。」というだけでなく、「同じく助成を受けて事業に取り組む他業者と出会うことが出来た。」と、有益な情報交換が出来たこともメリットの一つだという。
その日水揚げされた水産物が、翌日には手元に届くという消費者直結の販売システム「サカナックス」。斬新で画期的な「新しい水産物の買い方」は、着々と広がりをみせて多くの顧客を獲得した。現在は、既存会員のニーズに細やかに対応するため、新規会員の募集を一時ストップしている状態だ。
「今後は水産物のみならず、商品の幅を広げていくことを視野に入れています。」と、開発したシステムを積極的に活用していくつもりだという。
企業プロフィール
- ■企業名有限会社マルキョウスマイルフーズ
- ■TEL0178(32)3135
- ■代表者名鎌田 尚
- ■従業員数20名
- ■資本金300万円
- ■採択年度平成25年度上期