新商品にかける熱き思い
「良いモノを作れば売れるというわけではありません。」これまでも商品開発の経験がある三浦社長。商品スペックには自信があったものの、ブランドブックやパッケージに必要な撮影には全て立ち会い、自分の目で確かめながら進めてきた。
化粧品製造・販売を手がける弘前市の(株)ラビプレが、県産素材を配合したスキケア商品「ラヴィプレシューズAPGライン」を完成させた。同社はすでに、コラーゲンやヒアルロン酸に続く「第3の素材」と注目されるプロテオグリカンを使った商品を開発し好評を得ているが、「今回開発したのは一段階上の高級ライン。プロテオグリカンに加えて、新たに2つの成分を贅沢に配合。成分は全て青森県産です。」と話す三浦社長。その成分とは、りんご由来のAPセラミド(A)、プロテオグリカン(P)、甘草から抽出したグリチルリチン酸(G)。頭文字をとった「APGライン」として、化粧水・乳液・クリームの3点を開発した。
「APセラミドとプロテオグリカンの効果をより感じていただくために、グリチルリチン酸が大きな役割りを果たします。」グリチルリチン酸は肌の表面を柔らかくして、その後の成分を浸透しやすくする効果が期待できる成分。そもそも薬用植物である甘草は、主に漢方薬や健康食品などに用いられるが、使われているのは海外からの輸入品であることが多い。「青森県産」のモノづくりにこだわる同社は、グリチルリチン酸の配合にあたって甘草の栽培に一から取り組んだという。「甘草の栽培技術が確立できなければ、誕生していなかった商品。」のようだ。
ブランドイメージには、「世界自然遺産・白神山地の十二湖の一つ『青池』を採用し、パッケージデザインにもこだわりました。」と、まさに青森が生んだ青森ならではのスキンケア商品だ。
平成28年春に販売を開始し、同社のホームページからも購入することができる。新規顧客も順調に獲得しているようだ。また、弘前市内にある県産品セレクトショップに併設されているエステサロンでは同商品を導入し、フェイシャルエステを行っている。
素材の魅力に惚れ込んだものの、津軽地方では栽培されていなかった甘草。弘前大学との共同研究で栽培に取り組み、2年の歳月をかけてその技術を確立させた。平成26年の秋、甘草の収穫が成功したことを機に元気チャレンジを申請し、新商品開発が具体化していった。
「商品のスペックやパッケージデザインといった見た目が相まってヒット商品になる。」という考えのもと、商品自体の開発も然ることながら、「ボトルに十二湖をイメージした青と緑のグラデーションを反映するのに苦労しました。」と、思い通りの色合いに仕上がるまで時間をかけたという。同時に商品のモニタリングを行い、1年がかりでこだわり抜いた商品を誕生させた。
「21あおもり産業総合支援センターのコーディネーターには、創業当時からお世話になっていた。」ことをきっかけに、元気チャレンジを知った同社。採択を受け、助成金は主にブランドブックやチラシといったクリエイティブ部分で活用された。「金銭的に余裕を持って取り組めました。」と、妥協することなく、こだわりを十分に反映できたようだ。そして、「助成制度を活用したことで、事業のグレードが上がったと思います。おかげで、商品を全国に発信できるスタートランに立つことができました。」と付け加えた。
「ゆくゆくはグリチルリチン酸とAPセラミドの抽出までの工程を自社でできるようになりたい。」と話す三浦社長の心の内には、「雇用を生み出したい。特に、障がいを抱えている人たちです。」という思いがあるようだ。そもそも「ラヴィプレシューズ(フランス語で「大切な命」)」とは、社会福祉士として現場を経験してきた三浦社長が、「障がいがあってもなくても同じ大切な命」という意味を込めて名付けたもの。農作物の栽培やロゴデザイン制作など、これまでもモノづくりの現場へ参画する機会を提供してきたが、安定して働ける環境を整えたいと考えているという。
企業プロフィール
- ■企業名株式会社ラビプレ
- ■所在地弘前市文京町3 コラボ弘大内
- ■TEL0172(55)0847
- ■URLhttp://www.laviepre.com
- ■代表者名三浦 和英
- ■従業員数10名
- ■資本金300万円
- ■採択年度平成27年度上期