新商品にかける熱き思い
プロジェクトがカタチになるにつれ、「本サービスが正式に運用されたら地域貢献になるという意識が醸成され、従業員の高いモチベーションにつながりました。」と、中屋敷社長。サービス開発は、あくまでスタート。運用していくうえでのポイントの1つは顧客との信頼関係と考え、オペレーターを地元から雇用し、顧客とのコミュニケーションに努めている。「それが安心感を与え、eコマースに対する敷居の高さが解消されていると感じています。」他では成し得ない、顧客の立場に立ったシステムだと自負している。
オンラインショップを販売チャネルとして、6次産業化に踏み切る農業生産者が増えている。 とはいえ、ショップを構築するまでにかかる労力やその後の運営面、必要となるコストを考えると二の足を踏む生産者が多いのも現状だ。何より費用対効果を疑問視する声が少なくないという。 そんな地元生産者の声を吸い上げて㈱エヌシーソリューションズが取り組んだのは、ワンストップ型Web通販代行サービスだ。 「あきなふ」と名付けられた同サービスは、ITに精通していない人でも簡単に情報のアップロードや修正が可能なテンプレートにより、少ない手順でオンラインショップが開設出来るようになっている。 そして最大の魅力は、通販に必要な要素がパッケージ化されていることだ。「自社のコールセンターを活用し、システムを構築しています。」と中屋敷社長。 6名のオペレーターが、受注・問い合わせ・クレーム対応などを一括して請け負うシステムになっている。「これにより、顧客である生産者は農作業に専念することが出来ます。 受注内容はもちろんですが、クレーム内容やご意見は、レポートにまとめて定期的に送付しています。」と、顧客満足度向上につながる仕組みも構築している。 オリジナルテンプレートがあれば、操作は簡単。ITの知識に乏しい人でも気軽に、写真や文章をアップトード出来るのが魅力 サイトを利用する人に対して正確な情報を伝えるため、オペレーターが顧客の田畑に出向き、農作物の状態や生産者の思いなどを自分の目で、耳で確かめるこだわりよう。 包括的なプラン提案やきめ細かい対応に魅力を感じ、平成25年7月の運用開始から、利用者が徐々に増えている。
同社は、地元建設会社の戦略的子会社として平成24年1月に誕生した。 主な事業領域は、「ITソリューション」と「コールセンター」。この2つの事業を融合させ、新たな価値を見出すことが経営課題だった。 もう1つの課題は、親会社が推進しているリサイクル事業で開発している農業用肥料の販売先受け皿となる仕組みを構築すること。 これらの解決策として生み出されたのが、本事業である。 親会社が農業用肥料を開発・販売していることで農業とは密接なつながりがあり、事業化にあたっては、生産者に徹底的なヒアリングを実施した。
ワンストップ型Web通販代行 サービスを開発するにあたり経費を算出したところ、「想像を超えていたため、計画は一旦白紙になりました。その後、ホーム ページで元気チャレンジ助成事業を知り、申請・採択を経て実現に至りました。」 助成金は「通販用 テンプレート」と「通信用ソフトウェア」の試作品開発費に充当。出費を抑えることが出来たことで、商用サービス用のシステムの開発に 予算を回すことが出来たという。 「金銭面はもとよ り、派遣していただいたITコーディネーターから様々な助言を受けることが出 来ました。目指すべき価値が明確化され、適正な進捗管理がなされたことが、事業成功のポイントだったと思います。」
平成26年度は、「青森県産のブランド力アップ!」をスローガンに、商品ロゴやパッケージデザインの制作といったオプションサービスにも力を入れていく予定だという。 「これらの費用については、売り上げに応じたロイヤリティの導入も視野に入れ、ブランド力アップに寄与するサービスを目指します。」と、すでに次を見据えている。 当分は、農業生産者に限ってアプローチしていくという。「まずは農業分野で、確たるビジネスモデルを。その後は間口を広げ、各分野を開拓し、新規顧客を獲得していくつもりです。」 事業基盤が確立した後は、県内各地や近隣都道府県などへの拠点展開をしていきたい考えだ。同社のチャレンジはまだまだ続いていく。
企業プロフィール
- ■企業名株式会社 エヌシーソリューションズ
- ■所在地三沢市深谷2-94-303
- ■TEL0176-50-1070
- ■代表者名中屋敷 義美
- ■従業員数8名
- ■資本金1,000万
- ■採択年度平成24年下期