新商品にかける熱き思い
「モノづくりを好きになったきっかけは、小さいころに触れたプラモデルだった。今の若い人たちに向けて発信し、プラモデルを通してモノづくりを好きになってもらいたい。」と平井工場長。100年続く企業を実現するためには、モノづくりに真剣に取り組む人材を育てることも必要だ。「プラモデル教室の開催にも力を注いでいきたいと考えています。」
他に類を見ないユニークな役場を初めて見た時には、誰もが驚きを口にするだろう。田んぼアート開催期間中は毎年多くの観光客が訪れる南津軽郡田舎館村。役場天守閣から望む田んぼに浮かび上がるのはまさにアート。特徴あるこの取り組みの話題は全国に広がっている。
そんな同村の盛り上がりを後押しする「田舎館村応援プロジェクト」がある。仕掛けたのは地元のコネクタメーカー・㈱ソルテックだ。同社としても初の試みとなる、村役場のプラモデル化とマスコットキャラクターの開発を行った。
田舎館村役場プラスチックキットは、約60個のパーツで構成されており、組み立てていくと350分の1スケールの本格的な田舎館村役場がお目見えする。石垣や瓦風の屋根といった細部まで忠実に再現しているのが特徴だ。自身の発案によって開発に携わった平井工場長は、「ジオラマ風にしても良し。色を塗って自由に仕上げてもらえれば。」と話す。
応援キャラクターとして開発されたのが、「いち姫」と「いちこ」。当地と縁が深い歴史上人物をモチーフにした、いわゆる萌え系のキャラクターだ。フィギュアも制作され、プラモデルとセット販売もされている。
田んぼアート期間は天守閣の売店で販売するほか、お取り寄せも可能。徐々に問い合わせも増えてきており、「手応えを感じています。」と、上々の滑り出しのようだ。
「100年続く企業を目指す中で製造業の将来を考えると、受注生産のみではなく自ら発信していけるものがなくては。うちの技術を使って、第二の柱となる自社製品を作りたいという考えは常にありました。」ホビーメーカーとの出会いをきっかけに、その思いをプラモデルに託すことになる。
「県外の営業先で地元を紹介する際にも活用できるし、村おこしの一貫にもなる。」という思いから、田舎館村役場を題材に選んだ。
取り組みのきっかけとなった長野県のホビーメーカーの協力を得て商品開発の話が進む中で、「プラモデルだけではファン層が限られるので、キャラクターを開発して応援プロジェクトとすることで幅広い層を取り込もうと。」開発前から販売戦略を打ち立て、事業を進めた。
新事業への投資を躊躇していた時、元気チャレンジのバックアップを受けることになった。「金銭面の助成はもとより、1年間という限られた期間で計画的に業務を進めることができたこともメリットの一つです。」と、商品の完成に至るまで緊張感を持って臨めたようだ。
「助成金は、アドバイスを受けていた会社までの旅費や成型に必要な加工費に活用しました。」
青森をはじめとする各地の美術館で開催されている「美少女の美術史」に出品したり、Facebookページを開設したことが功を奏し、「いち姫」と「いちこ」によるプロジェクトが効果を上げている。「まだデビューして半年ですが、情報拡散の早さに驚いていてます。」というほど。知名度のバロメーターともいえるコスプレ界からも注目され始めているようだ。「ご当地萌えキャラは全国的にも注目を浴びています。固定ファンを獲得できれば、商品のみならず村のPRにつながるはず。今後、コスプレーヤーが増えてくれれば嬉しい。」と、萌えキャラファンの発信力にも期待している。
また、キャラクター誕生記念に行った「いち姫マーケット2014」では、うちわ制作のワークショップを弘前大学の学生とコラボするなど、新たな取り組みも進めている。「今回の事業で弊社に新たな人脈ができた。それをプラスに活かしていきたい。」と語る。
企業プロフィール
- ■企業名株式会社ソルテック
- ■所在地田舎館村川部上船橋46-2
- ■TEL0172(58)2281
- ■URLhttp://www.saltec.co.jp
- ■代表者名小泉 源一郎
- ■従業員数20名
- ■資本金3,000万円
- ■採択年度平成25年度上期