新商品にかける熱き思い
もともと美容や健康に興味があり、炭酸水の効果や硬水に含まれる栄養成分を知っていた橋本社長。身近にある資源を活かしてミネラルを豊富に含む炭酸水を作れたら…という思いで始まったプロジェクトだが、「あったのはアイディアだけ。モノづくりの経験がなかったので、わからないことがわからないという状態。」だったとか。プロジェクトメンバーと何度も話し合いを重ね、意見を出し合い、思いを一つにして突き進んだ。「商品化までたどり着けたのはスタッフのおかげ。信頼関係を築けたことが大きかったと思います。」助成制度活用も含め、全ての縁に感謝しているという。
昨今、美容や健康分野で注目されている炭酸水。飲んで良し、塗って良しと、一大ブームに発展している。各メーカーがしのぎをけずる中、八戸市からも新しいタイプの炭酸水が誕生した。 ㈲虹の川が企画・販売している「燦々水」は、八戸市白銀地区にある三島神社近くに湧き出ている「三島の水」と呼ばれる銘水で作られた商品だ。昔から生活用水として地域の人に親しまれてきた水が、刺激的にデビューすることになった。 「日本で飲み水といえば軟水ですが、三島の水はミネラル成分を豊富に含んだ天然硬水。水道水の約3倍にあたる硬度で、ヨーロッパの硬水ほど硬度が高くないので、飲みにくいということはありません。」と話す橋本社長。確かに硬水のイメージよりは柔らかく、体のすみずみまで行き渡るような炭酸の刺激とうまくマッチしている。「軟水のような口当たりの良さとは対照的な、刺激的な炭酸を含んでいるのがこの商品の大きな特徴です。」と、その出来に胸を張る。 現在はセレクトショップやインターネットでの通信販売がメインで、首都圏や関西圏からの注文が増えているとか。「結婚式の引き出物に使いたいという連絡も。」と、高級感漂うデザインが嬉しい効果を生んでいるようだ。
「三島の水」を使った飲料といえば、「三島サイダー」。八戸製氷冷蔵㈱が大正11年から製造を続けている人気飲料だ。「八戸では誰もが知っている飲み物ですが、使われている三島の水が硬水だということは最近になって知りました。」驚きの事実を知ったところから、身近にある資源を活かしてミネラルを豊富に含む炭酸水作りを模索し始めたという。 炭酸水に特化した市場調査を行ったのちにマーケティング戦略の仮説を立て、商品のコンセプトや長期ストーリーを構築。製造はその道のノウハウを持つ八戸製氷冷蔵㈱に協力を依頼し、デザイナーやWebクリエィターも含めたプロジェクトチームを発足。手応えを感じたところで本事業がスタートした。
構想を打ち立ててから、モノづくりセミナーや起業家養成講座などを積極的に受講したことで元気チャレンジの存在を知り、申請したという橋本社長。「助成金は、試飲商品でのモニター調査と、商品を紹介するリーフレットやWebページ制作に使いました。」発売前に消費者の反応を見られたことは、販売戦略を立てるうえで役立ったと振り返る。「商品開発にお金がかかるので、広告宣伝費を考えるのは後回しになりがち。助成金を獲得できたことで、商品に見合った販促物を作ることができました。」商品そのもののクオリティーだけでなく、ラベルデザインや販促ツールなどにもこだわりを表現することができたという。
国内産の炭酸水は、軟水で作られている商品がほとんど。硬水を使用して大量生産すると、製造工程でカルキが発生し機械に負荷がかかるうえ、水質を見極めながらの作業が不可欠なためオートメーション化が難しいからだという。この燦々水には、長年にわたって培われてきた地元老舗メーカーの技術が詰まっている。生産量こ限られるものの、大手メーカーが手を出せない分野の商品だ。だからこそ、通常の炭酸水の相場よりも高い価格設定になっている。
「市場としてはやはり首都圏。百貨店や高級レストランをメインとして、顧客の獲得を目指します。贈答用としての活用も期待したい。」希少価値とポテンシャルの高さを活かし、ターゲットを明確にして販路を開拓していきたい考えだ。
企業プロフィール
- ■企業名有限会社虹の川
- ■所在地八戸市売市長根平６−６
- ■TEL090-3754-8623
- ■代表者名橋本 亮子
- ■資本金300万円
- ■採択年度平成25年度上期
