新商品にかける熱き思い
自社の野菜や果物を、「いかに付加価値をつけて売るか。」の線上にあったという加工品開発。スイーツ作りは素人だが、「どう変化するか、まずはやってみる。」ことを信条に、無我夢中で取り組んだ。「美味しいと言ってもらえることが一番嬉しい。」と、モノづくりの喜びをその一言に見出した。
(株)フォーシーズンが展開する「あぐりパークつがる塾」。米やりんごに加えて、ハウスではナスやトマトといった数種類の野菜を育てている。自社で堆肥を作りながら、農薬・化学肥料を使用しない農業に取り組み始めて約10年。全国で行われている百貨店などの催事に積極的に足を運んだこともあり、着々とファンを獲得している。
知名度を上げるきっかけとなったのは、有機栽培で作るりんごを使用したアップルパイだ。平成21年に元気チャレンジの助成を受けて、試行錯誤の末に誕生したアップルパイは、甘さ控えめで男性にも大人気。「催事中に何度も買いに来てくれるお客様もいるんです。」と、今社長の顔がほころぶ。社長自ら100個以上のアップルパイを試食して、1年をかけて作り上げた商品だけに、思い入れもひとしおだ。
そして、オリジナル商品がもう一つ。こちらも元気チャレンジを活用して生まれた「シャーベットソフト」だ。味は、「りんご」・「りんご&カシス」・「トマト&レモン」・「スチューベン」の4種類。ソフトクリームのように渦巻き状にして提供することを前提として開発されたために「ソフト」としているものの、通常のソフトクリームとは違い、乳脂肪を一切使用していないのが特徴。果実と水、砂糖の比率が美味しさのカギを握る、シンプルながら素材の味がダイレクトに伝わってくる商品だ。
夏の主力加工品として催事などで販売を続けているが、もっと手軽に買い求めてもらえるよう、新たにカップでの販売も始め、「目下、販路を拡大中です。」と今社長。「首都圏をはじめ遠方の方にも、有機栽培で作られた野菜や果物を使った加工品を広めていきたい。」と、力を込める。
オリジナルアップルパイを開発後、百貨店などに直接アプローチをして、催事出展を実現させてきた今社長。「アップルパイは秋冬というイメージの商品。夏の催事でメインとなる加工品の開発が必要だと感じていた。」という。
全国で通用する商品を作るためには、アップルパイ開発時同様にリサーチが必要と、再び元気チャレンジの力を借りることに。採択後は、他社商品との味・価格の比較検討を経て、自社で育てたパプリカやナス、ブルーベリーなどの野菜や果物で試作を繰り返し、前出の4種類が商品化されることとなった。
「新しいモノを生み出す時は失敗がつきもの。資金がなければ挑戦すら出来ない。」そう思った今社長は、県内の助成制度を調べて元気チャレンジを知ったという。
助成金は2度とも、類似商品のデータ収集や試食にかかる研究費や旅費、試作機器のレンタル費などに充てた。「本助成事業を活用し、首都圏の商品のリサーチや味の研究が出来たことが、美味しいと言ってもらえる商品開発につながったと思います。」
最近になって取り組み始めた「シャーベットソフト」のカップ売り。「出展が決まっている催事の日程に合わせて用意したものなので、まだ開発途中。もう少しインパクトがあるパッケージに改良したいと思っています。」数々の催事で販売を行ってきた今社長。商品は「味」だけでなく、「見た目」も購買意欲を左右する一因だと認識している。味に自信があるからこそ、人目を引くパッケージにもこだわりたい考えだ。
今後も全国各地の催事に積極的に出展してPRし、インターネット販売へつなげたいと考えている今社長。リピーターが増えてきたことに甘んじることなく、「既存商品のブラッシュアップを図っていきたい。」と、謙虚な姿勢を見せる。
企業プロフィール
- ■企業名株式会社フォーシーズン
- ■所在地五所川原市前田野目砂田57-6
- ■TEL0173(29)3023
- ■代表者名今 久男
- ■従業員数7名
- ■資本金1,900万円
- ■採択年度平成25年度上期