株式会社コウナン

実績と技術が生かされた新工法確率のための検証事業

新商品にかける熱き思い

装置の使用許諾が得られず不遇の年月もあったが、「経費削減のために考え出した工法が、特許を申請するまでに…。」と笑う山端社長。新工法の行方については、その一切を萩野専務に一任してきたという。「助成金を活用させていただく以上は、途中でやめられないという思いがあったのでは。」と、これまでの道のりを振り返る。

株式会社コウナン 代表取締役 山端 茂樹さん

開発商品の内容 新発想!つり上げからリフトアップへ

昭和60年の創業以来、主に民間及び公共工事の土木一般建設業を営んできた(株)コウナン。主として、土木工事、舗装工事、コンクリート構造物工事を手掛けてきた同社が現在、新工法「ブロック昇降装置」の特許※を申請中だ。
「ブロック」とは、海岸や河川に設置される消波ブロックのこと。鋼製の型枠を組み立て、中にコンクリートを流し込み製作される。
大きいものでは80tにもなるこの消波ブロック。底型枠を外す際、大型クローラークレーンでブロックを吊り上げて脱型する従来の工法に対し、同社が提案する新工法は、大型クレーンを使用しない「消波ブロック底型枠横引工法」だ。油圧ジャッキで下から垂直にブロックを持ち上げ、底型枠を横に引き出す工法だ。吊り上げて仮置きする従来の工法と比べて、転置作業の必要がないため安全性も高く、破損などの被害が少なくて済む。そして何より魅力的なのは、従来の工法に比べてコストを1/5に抑えることが出来る優れた経済性だ。
新工法は八戸工業大学との共同研究により、安全解析を行い、安全性も証明されている。
平成27年1月には、国土交通省の「新技術情報提供システム(NETIS)」にも登録され、最先端の技術として注目されている。※八戸工業大学との共同出願

 発案者であり、開発の指揮をとってきた荻野専務

 

 従来工法 新工法

 

 東日本大震災以降、大型クレーンの手配がより困難になっていることから、多くの需要が見込まれる新工法

 

事業化までの道のり 打開策こそ新工法

「大型クレーンは数が限られているため、繁忙期に重なると手配が困難であると同時に、運搬費や賃貸料などのコストが高額なんです。
」と建設業界の実情を話す萩野専務。新工法開発のきっかけは同社で受注した消波ブロック製作工事において、「大型クレーンを使わずに済む方法はないものかと…。」というコスト削減案だったことを明かす。
これまで培ってきた経験と技術を基に油圧ジャッキを用いた装置を開発したのが平成20年のこと。当初は自社が請け負った工事で発注者の許諾を得た場合のみ使用していたが、今後の事業化のために数値的安全性の証明が必要として、平成25年に元気チャレンジの助成を受け、本格的な構造解析による実証に踏み切った。

助成金活用の経緯とメリット 安全性の数値化と検証

八戸工業大学に装置の構造解析を依頼し安全性が実証されたのち、軽量化のための構造改善研究も共同で行った。改良点を討議し、80t型ブロック用の昇降機を試作。実証試験を実施するまでにかかる経費に助成金を充当した。
「21あおもり産業総合支援センターのコーディネーターが会議や実証試験にも立ち会い、アドバイスをいただけたことも事業化成功のポイントだと考えています。」と、金銭面以外のメリットも強調する。

今後の事業展開 全国へリース展開

安全性・施工性・コスト面において、従来工法との比較を明確に数値化出来たことで、油圧昇降装置の製作に取り掛かった同社。現在、80t型ブロック用2台と50t型ブロック用1台を所有している。
今後はリースをメインとして事業を展開していく予定で、建設業の新技術を公開する展示会「EE東北」などにも出展しPRに力を注いでいる。「全国的に営業展開しているリース会社や商社との提携を視野に入れています。」と、シェアを広げていきたい考えだ。
同社が開発した新工法の浸透により、消波ブロック製作現場から、これまでの工法では不可欠だった大型クローラークレーンが姿を消す日がやってくるかもしれない。

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企業プロフィール

  1. ■企業名株式会社コウナン
  2. ■所在地三沢市南町4-31-3732
  3. ■TEL0175(37)4711
  4. ■代表者名山端 茂樹
  5. ■従業員数23名
  6. ■資本金2,000万円
  7. ■採択年度平成25年度下期
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