新商品にかける熱き思い
「直接企業に出向くなどして、より細かな情報を得ることを目指した。」と話す齊藤主事は、同推進室に配属となって4年。企業に対して直接的なアプローチを図った初めての取り組みは、「今後の活性化につながると思います。」と手応えを感じている。
産学官連携を積極的に推進している八戸工業大学がこの度、県内企業を対象に知的財産権についての意識調査を行った。同学が本内容で企業に向けた調査を行うのは初めてのこと。 主に製造業を中心とした県内企業138社に対して知的財産アンケート調査を実施し、59社から回答を得た。設問は、知的財産の管理部門、知的財産権の保有・出願の実績などを問う内容だ。そのデータから地域ならではの課題を探ると同時に、率先して知的財産への取り組みを行っている企業を訪問し、活用に至るまでの経緯や課題についてのヒアリングも行った。 業務にあたった社会連携学術推進室の齊藤主事は、「県内企業の現状を把握することが出来た。」と話す。 また、知的財産に対する興味・関心喚起のため、企業向けのセミナーも2度に渡って開催。弁理士を講師に招いて講演を行った。その後のアンケートでは、「理解が深まった」「取り組みの意識が高まった」という意見が集まったほか、「講師に自社のケースに合わせた疑問などが投げかけられ、問題解決への糸口として活用していただけたようだ。」と、予想以上に関心の高さがうかがえる結果になったという。 学内の知的財産分野の担当部署というだけで なく、産学連携の窓口となっている社会連携学術推進室。「互いが問題意識を共有し、課題を解決するための足がかりとしていきたい。」としている。
青森県の特許出願件数及び登録件数などの知的財産権に係る実績が他の都道府県に比べて低いことに加えて、本県には技術移転機関(TLO)※がない。「大学として問題解決に何か役立てる方策がないものかという思いが根底にあった。」と思いを打ち明ける。 これまでも他大学とネットワークを形成し、知的財産についてどのような見解や対応が適切であるかを検討し助言内容を話し合う場を設けてきたが、「本学としての支援はどのような形が的確であるのかを導き出したい。」と、「学」が担うべき役割りと内容を明確にするためにも、意識調査の必要性を感じていたという。
「助成金はアンケート調査の郵送費、セミナーのチラシ制作費と講師への謝金に活用しました。」セミナーの開催においては、「助成制度を活用出来なければ、実現しなかったかもしれません。」調査だけにとどまらず、一歩踏み込んだ啓発活動が出来たようだ。 また、「助成金を活用したことで、事業に対する使命感が芽生えた。」という。
「青森県の特徴を活かす知的財産のサイクルの考察や、次の段階の課題抽出まで調査することが出来ました。」という成果に加え、「これを契機に本学から企業に対するアプローチで知的財産への意識向上を目指すとともに、もっと県内企業が特許などを取得出来るよう、必要な情報を提供していきたい。」と、取り組みを通して見えたあるべき大学の姿と、今後の豊富を語った。
企業プロフィール
- ■企業名八戸工業大学
- ■所在地八戸市妙大開88-1
- ■TEL0178(25)3111
- ■代表者名藤田 成隆
- ■従業員数165名
- ■採択年度平成26年度上期