新商品にかける熱き思い
商品開発と販路開拓、タイアップ事業における実務のほとんどを社員に任せていたという二階社長。「若い社員が頑張ってくれたので、私は必要な時だけ呼ばれて行って(取引先に)頭を下げたくらい。」と社員の頑張りを讃え、「助成金があったからこそ思う存分やれたんだと思います。」と、助成制度活用の心強さを付け加えた。
近年、あおもり藍産業協同組合が独自に開発した染料とその染色技術「あおもり藍」への関心が高まっている。 薄水色から濃紺色まで8色に染め分けることができるほか、抗菌・防臭性が高いことから、それらの特性を活かした服飾品や消臭剤などが商品化されてきた。染料として注目されてきた「あおもり藍」は食品として食べることもでき、ポリフェノールやミネラルが豊富であることもわかっている。食品への活用も期待される中、おみやげ品として人気を集めているのが「あおもり藍フィナンシェ」だ。
青森市の菓子メーカー(有)二階堂が開発・販売している同商品は、県産小麦「こけし」と県産米「つがるロマン」の米粉にパウダー状にした藍の葉を練りこみ、しっとりとした食感にこだわり焼き上げたもの。薄いエメラルドグリーンの色味と一口で食べられる小さめのサイズが上品さを醸し出している。
フィナンシェには金塊の意味があることから大きめの焼き菓子を想像するが、「海外の方はちぎって食べる習慣がないため、このサイズにしてあります。」と言う二階社長の言葉からもわかるように、開発段階から「青森みやげ」ではなく「日本みやげ」としてのポジションを狙った商品だ。パッケージにも日本らしさを出すため、着物を彷彿させる和柄の帯と折り鶴を。個装用のパッケージにも一つ一つ丁寧に手織りされた折り鶴が光る。
平成28年春にはJALの伊丹・青森間路線の茶菓子としても採用され、国際線の機内販売や通信販売カタログにも掲載が叶った。すでに海外からも喜びの声が届いているという。
ヴィトンやシャネルといった海外のハイブランドからも一目置かれている「あおもり藍」。「付き合いのあるあおもり藍産業協同組合から、現地に出向く際の手土産をつくって欲しいと依頼があった。」ことに端を発し、あおもり藍を活用したお菓子づくりに着手。社内でプロジェクトチームをつくり、県産材料にこだわった商品開発の
スタートを切った。チームを率いた柳谷美香さんは、「小麦粉一つをとっても種類によっては食感に大きな差が。また練り込む藍葉パウダーも量によって色味と食味に違いが出るため、素材の吟味と分量の調整、焼き時間を極めるために多くの時間を費やしました。」と話す。試作をしては店頭でモニタリングを行い、改良を重ねた末に「あおもり藍フィナンシェ」が誕生した。
事業開始とともに元気チャレンジに応募、採択を得た同社。助成金は主に開発費に充てられた。商品自体の開発も然ることながら、「海外への手土産というのが根底にあったため、やはりパッケージにも日本らしさがないと。」と、ターゲットを明確にしてこだわった。今後、海外へ売り出すことを見据え、日本のイメージをパッケージにどう反映させるか試行錯誤を繰り返した結果、障がい者就労支援事業所に協力を仰ぎ、手織りをしてもらうことに。「妥協することなくここまで追求することができたのは助成金のおかげ。」と柳谷さん。
JALとのタイアップも功を奏し、国内外に着実に広がりをみせている「あおもり藍フィナンシェ」。今後は首都圏を中心に、国内での販路を広げていきたい考えだ。「健康志向が高まる中、無農薬で栽培され効能にも優れるあおもり藍を活用した商品を、国内でも広めていきたい。」と話す二階社長。青森ならではの商品が全国に名を轟かすことを期待したい。
企業プロフィール
- ■企業名有限会社二階堂
- ■所在地青森市本町1-6-11
- ■TEL017(732)1104
- ■URLhttp://nikaidou.jp
- ■代表者名二階 隆光
- ■従業員数39名
- ■資本金1,000万円
- ■採択年度平成26年度下期