環境緑花工業株式会社

植物向上新設で農業参入 ~自然エネルギーの活用

新技術にかける熱き思い

「計画通りに事が運ばないことが多々あって、かなり稼働が遅れてしまった。」と話す山谷社長。心が折れたことはなかったかという問いに対し、「一度もないですね。自分でやると決めたわけだから、途中で投げ出すなんてあり得ない。」と力強く語った。

環境緑花工業株式会社 山谷さん

開発商品の内容 太陽光と木質バイオマスによる植物工場

八戸市の環境緑花工業(株)が、自然エネルギーに着目した新たなチャレンジを始めている。太陽光と木質バイオマスを利用して野菜や果物を育てる取り組みだ。太陽光を効率よく取り込めるように工夫された、いわば従来のビニールハウスを高度化させたプラントを建設し、平成27年3月から稼働させている。  環境や栽培条件を最適な状態に保つための様々な装備を備え、コンピューターでシステム化された工場内では、ミニトマトやいちご、葉物類が栽培されている。同社の山谷社長は、「ミニトマトはこの辺りの地域で栽培されていない品種に取り組み、地元の市場をはじめ首都圏のレストランに直送。いちごと葉物類は地元の市場に出荷しています。」そして、「サラダほうれん草は水耕栽培で、栽培中は農薬を使用せず、肥料をコントロールするこで低硝酸栽培が可能です。」と、安心・安全への取り組みを語る。  季節や気象条件に左右されない安定生産と安全性の観点から、大手企業の参入も相次いでいる植物工場。一般的には、閉鎖環境で太陽光を使わずに人工光を利用する「完全人工型」や、太陽光とLED照明などを併用する「太陽光利用型・併用型」などがあるが、同社は太陽光と木質バイオマスとの併用型。人工光を使う代わりに木材を燃やして、悪天時や冬場の熱量不足をカバーしている。エネルギ―の併用はコスト面にデメリットがあると言われるが、同社が使っているのは本業である工事現場などから出た剪定枝や除伐材。廃棄物を使うことでエネルギーコストを大幅にカットし、十分な熱量によって高い生産性が保たれる。「安定生産には、栽培技術の充実が不可欠。データを収集しながら検証し、安心で安全な野菜作りに取り組んでいきたい。」としている。

 冬場は木質バイオマス加温機と地中熱活用ヒートポンプのハイブリッド加温システムで環境制限される

 閉鎖された環境で作られた良質な苗を工場内で定植させ栽培。

 八戸市櫛引地域に新設させた同社の植物工場

事業化までの道のり 廃棄物を有価物に

 「オランダの博覧会で太陽光型植物工場を視察してから、いつかは取り組んでみたいと思っていた。」という夢が現実身を帯びてきた背景には、同社の本業における現状を強みに変えた発想が。「当社は造園・土木を主とした建設会社。現場からは大量の剪定枝や除伐材が発生する。これらの廃棄物を有価物に変える取り組みにチャレンジしようということに。」と、太陽光と木質バイオマスを併用した省エネルギー植物工場事業が動き出した。  野菜や果物の栽培方法、木質バイオマスを利用した省エネルギー生産技術を習得するため2名の社員を雇用し、青森県産業技術センターや地元大学、十和田市の農機具製造メーカーの協力を得て、産官学連携で事業が進められた。

助成金活用の経緯とメリット 学ぶ機会を増やすことが出来た

 県が主催する植物工場関連の研究会やバイオマスエネルギーの研究会などに参加したことで、元気チャレンジを知ったという同社。「新事業では、データ収集及びマニュアル作成などに携わる人材育成が大切。そこに助成金を活用したいと応募しました。おかげで技術を習得するための研修会への参加や既存施設の視察、専門図書の購入、専門家による栽培指導などを受けることができた。」と、専門的な知識や技術を習得する機会を増やすことができたという。

今後の事業展開 まずは基本モデルを構築

 「まずは地域に適したシステム及び生産マニュアルの開発・普及に向けての基本モデルを構築すること。」が近い目標であり、「将来的には施設の拡大も視野に入れている。」と山谷社長。生産面に関しては、「安心・安全と地産地消を軸に、機能性が高い野菜や果物を栽培していきたい。」と、のちのブランド化にも意欲を燃やしている。  八戸地域の冷涼な気候風土においても年間を通じて安定的に農産物を生産できる植物工場。雇用創出や農業の拡大による地域振興が期待される中、「播種や収穫といった軽作業の雇用も拡大する予定です。」と語った。

今後の事業展開 雇用の場を広げたい

 「ゆくゆくはグリチルリチン酸とAPセラミドの抽出までの工程を自社でできるようになりたい。」と話す三浦社長の心の内には、「雇用を生み出したい。特に、障がいを抱えている人たちです。」という思いがあるようだ。そもそも「ラヴィプレシューズ(フランス語で「大切な命」)」とは、社会福祉士として現場を経験してきた三浦社長が、「障がいがあってもなくても同じ大切な命」という意味を込めて名付けたもの。農作物の栽培やロゴデザイン制作など、これまでもモノづくりの現場へ参画する機会を提供してきたが、安定して働ける環境を整えたいと考えているという。

 2ロゴマーク

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企業プロフィール

  1. ■企業名環境緑花工業株式会社
  2. ■所在地八戸市河原木千刈田12-5
  3. ■TEL0178(20)3400
  4. ■代表者名山谷 弘美
  5. ■従業員数16名
  6. ■資本金3,500万円
  7. ■採択年度平成26年度下期
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