[事業名]県産りんごを活用した加工食品(ドライアップル)の開発事業
[補助金の主な使途]原料、副資材購入費・試作品製造費・共同研究費・展示会出展費
果肉まで真っ赤な県産りんごを使った機能性ドライアップルの開発
色味と機能性を兼ね揃えた今までにない商品への挑戦
「お世話になっている青森県のために、県産りんごを使った商品開発には以前から着手したいと考えており、当社にとって『紅の夢』との出会いは衝撃でした。」と笑う小澤さん。当社は、神戸市に本社を置く食品メーカーであり、八戸工場では主に冷凍食品を製造している。県産品を使った商品開発を検討するなかで出会ったのが弘前大学が開発した果肉まで赤い『紅の夢』だった。「身も皮も赤い外観、酸味の強い風味。これを使った色鮮やかで機能性が高い加工食品を開発したい。」しかし、りんごは時間の経過ともに色味が損なわれるだけでなく機能性も失われる。試行錯誤の後、小澤さんは弘前大学の岩井教授の協力を得ながら、紅の夢、紅玉、ふじの3 種類のりんごを使用したドライアップルの開発に成功した。商品コンセプトは、「ちょっと贅沢でからだにもいい、青森県からのひとくちご褒美。」県産りんご果肉の天然色素を活かした無着色の色鮮やかな見た目と、素材を生かした風味豊かな味わいで他社製品との差別化を実現した。
りんごの商品特性による試行錯誤と弘前大学の協力
「前提条件は、原料の特性を生かすこと。しかし、赤色の成分の特性を理解し安定させないと変色してしまう。初期の試作品は1か月でイメージした鮮やかな赤色から黄色に変色し、試行錯誤の連続でした。」と小澤さん。時間をかけて開発をするにも、りんごは1年のなかで収穫時期が決まっている季節もの。ましてドライアップルは商品特性上賞味期限が長くなることから、ひとつの検査結果が出るのも時間がかかってしまう。「補助事業実施期間中に開発できないのではないかと焦りました。よって、事前の仮設の組立てと分析項目を限定することが重要で、弘前大学の岩井先生には多大なる協力をいただきました。」数年間の試行錯誤の繰り返しの末、半年以上の退色抑制と風味の維持を実現。また、製法を横展開することで、スイーツ用途の主力である紅玉と知名度の高いふじもアイテムに追加し、外観や味にグラデーションをつけ、消費者から飽きにくい味と見た目にたどり着いた。
腰を据えた研究開発を可能にした補助金の活用
「助成金を活用することで、従来の開発・設計ではコストや作業的な都合で組み込みにくかった成分分析など、長期間にわたる試験、検証ができました。」と小澤さん。今までは主観的な評価だけだった要素に、数値的な変化を紐づけた検討が可能になったことが最大のメリットだったほか、それに伴い自社の開発・品質管理のレベルの向上につながったことも大きな副産物と感じている。
アフターコロナに向けた更なる挑戦へ
2020年にお土産品需要・ギフト需要にターゲットを絞り販売を開始したものの、直後に新型コロナがまん延し、ビジネス環境は大きく変化。事業戦略の見直しを余儀なくされた結果、現在は一時休売をしている。「現在もコロナ禍の影響は根強いですが、withコロナも浸透し国内旅行は回復傾向を示しています。今後、さらに中国からのインバウンド需要の動向も分析し、需要が回復した時点で再販を検討していく予定です。その際は、更なる付加価値の上乗せを考えています。」若手ホープはコロナ禍という逆境も前向きに捉え、更なる高みを目指している。
技術本部 商品開発部 八戸開発グループ 小澤 祐介さん 横浜市出身。大学卒業後は食に携わる仕事がしたいと(株)合食に入社。入社後、八戸工場に配属され初めて担当した開発案件が本商品となる。料理が得意で休日は様々なレシピに挑戦し、趣味を通じて仕事のスキルアップを目指している。連休になると県内外を問わず秘湯温泉へ足を運んでいる。 |
取材担当者からのコメント
開発した商品を初めて拝見した際、色みの鮮やかさにまるで宝石のようだなという印象を抱きました。これで無着色なんて!そして、ひとくち頬張ってみたときのりんごのそのものの味わいにさらに感動。青森県民としては、こんな風に青森りんごのおいしさを広めていただけたことに感謝しかありません。現在は、一次休売となっていますが、コロナが収束した後の今後の展開を一消費者として非常に楽しみにしています。 |
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企業プロフィール
- ■企業名/株式会社合食
- ■所在地/八戸市市川町字下揚49-11
- ■TEL・FAX/0178-52-6160・0178-52-7027
- ■代表者名/代表取締役社長 砂川 雄一
- ■資本金/9,020万円
- ■設 立/昭和23年6月
- ■事業内容/水産加工品製造販売
- ■活⽤補助事業/平成30年度21あおもり未来チャレンジ助成事業
- ■ホームページ/https://corp.goshoku.co.jp/