株式会社今井産業

廃材を活用した新素材e・Wood＋

　(株)今井産業は建築資材の卸業者であり、木材や建材等の卸販売を行ってきたが、『省エネルギー化・資源のリサイクル』といった現代社会の喫緊の課題に対応すべく、廃材の活用方法を考えるようになった。そこで思い付いたのが木のダンボール。本来、ダンボールは重みに弱く、強い力に耐えられないことから、「それを木で作れたら強度を高めることができるのではないか。」と考えたという。ダンボールの波型部分について、(地独)青森県産業技術センターを利用して３年間研究し、木板を波型にすることに成功。e・Wood＋が完成したのである。
　e・Wood＋を商品化するため、パートナー企業を探しに国内の展示会へ12回以上足を運んだ。大手企業をはじめ、多くの企業からコラボ依頼があり、商品化を目指してコラボ先からの要望に応えていたが、木の特性である変形やワレ等の問題が続出、商品化まで至らないケースが後をたたなかったという。その状況を変えるべく、自社で商品開発に挑戦することとなった。

助成金活用で新事業へ挑戦！

　「助成事業を活用することで何度も新しい事業にチャレンジすることが出来る。」と今井会長。展示会出展は、普段関わりの少ない分野の人との出会いや、予想しないきっかけ・繋がりが出来ることが一番の魅力であるという。今回の補助金を活用して出展した展示会では、出展した3000 社のうち、数社のみが取り上げられる海外向けテレビ番組からの収録依頼があった。「どこにチャンスやきっかけがあるかわからない。可能な限り多くの展示会に出展する必要がある。」と感じている。また、「助成金の利用には、書類の作成が必要であることから、面倒に感じている事業者が多いと思うが、もっとたくさんの方に助成金を活用してもらい、事業の幅を広げるきっかけづくりとして欲しい。」とのこと。

e・Wood＋の普及に向けて奮闘

　製品化に約８年かけて開発したe・Wood＋。「開発から商品化、販路開拓まで、すべての取り組みに時間がかかる。最終的な販路拡大まではまだ時間がかかりそうだ。」と、e・Wood＋の価値観を活かせるよう商品化に悩み、e・Wood＋が抱える課題の解決に取り組んできた今井会長。e・Wood＋は100％天然の木板を加工しているので、香りもよく、本物の木だからこそ持つ美しさがある。そのため、海外からの人気だけでなく、都内のオフィスに利用されるなど、内装の一部や家具、インテリアとしても支持を得ている。e・Wood＋はこれまで市場にはなかった新たな素材であり、競合が存在しない一方で、普及・展開が難しいという課題もある。どのようにしたら市場に需要が生まれるのか、日々奮闘しているところである。

会長　今井 公文さん 新素材ｅ・Wood+を開発した今井会長。多くの企業から注目が集まるｅ・Wood+は7か国で特許を取得済み。生みの親である今井会長には、「特許庁長官賞」が贈られるなど、その功績は広く認められている。

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