株式会社駒嶺商店

[事業名]青森県産農林水産物を活用した(仮称)「彩塩」の新商品開発と販路拡大事業
[補助金の主な使途]オリジナル塩を作る窯購入費・HPのリニューアル費・パッケージや販促物作成費

 

“地元の塩×県産品”で青森の魅力を発信!

 

県産品を活用したオリジナル塩誕生

 青森県は三方を海に囲まれている土地にも関わらず地元の塩が無い。そこで、青森ならではの塩の開発を目指し、(株)駒嶺商店は平成21年に塩工房を建設した。津軽海峡の沖合80mの海底から汲み上げた地下海水(井戸からくみ上げられた海水)を自社工場でおよそ3日~4日かけ煮詰め、約600リットルの海水からおよそ20kgの塩がつくられる。塩を焚き上げる大きな窯が並ぶ工房内は夏場は40度以上にもなるそう。すべて手作業で丁寧につくられた塩は、県内はもちろんのこと、県外の企業でも採用され、加工食品や菓子等、幅広い商品に活用されている。「調味料の原点は塩。青森県の地元の塩とともに、魅力ある農林水産物を県内外に向けて発信していきたいと考えました。」と駒嶺社長。その想いから作られたのが、昔ながらの製法で作られたこだわりの塩と県産食材を掛け合わせて開発した駒嶺の新塩シリーズである。通常の釜炊塩のほか、少し赤味がかった色合いが特徴で、香ばしいにんにくの風味が食欲を誘う大蒜(にんにく)塩、爽やかな潮の香りとまろやかな海藻の味わいの若布(わかめ)塩、全部で3種類の塩が開発されている。

 

試行錯誤の商品開発

 「東京オリンピックに向けてオリンピックカラーである5色の塩ができれば良いと考えていました。」と、当初の想いを語る。補助事業を開始した1年目には、りんごやにんじん、スチューベン、ヒバなどの県産素材と組み合わせるも、粘度が上がりサラサラ感がなくなってしまう、期待していた色にならないなどの理由から、商品の完成までには時間を要した。製造工程の課題を1つ1つ洗い出し、風間浦村商工会や21あおもり産業総合支援センター、下北ブランド研究所など、あらゆる機関と連携しながら解決に取り組んだという。県産素材を配合するタイミング等を試行錯誤しながら製造工程を何度も見直し、こだわりの大蒜塩と若布塩が完成した。「コロナ禍での商談会は試食ができず、思うように営業活動を進めることができなかった。」というが、試作品を小分けにして配るなど工夫をしたとのこと。「特に大蒜塩の評判が良かった。」と、青森県の魅力がつまったオリジナル塩は来場者からの反響も大きいものだった。

 

新商品完成に向けた着実な一歩

 「新しいチャレンジはリスクも大きく、自社の資金のみで試作品を開発するには限界がある。補助金を活用することにより、一歩踏み込んだ取組ができたと思います。」と、補助金を活用する意義を語る。また、製造工程の見直しをはじめ、ラベルデザインのアイディアや食品表示に関することなど、支援機関のきめ細かなサポートも心強かったという。「各機関には、自社では持ち合わせていない専門的な知識やノウハウの蓄積があります。それをもとにアドバイスをしてもらえたことで、商品完成に向けて事業に取り組むことができました。」と話すなど、新商品の開発を着実に進めてきた様子がうかがえる。

 

 

地元の塩として愛されるように

 駒嶺社長は「青森県は短命県と言われているが、質の高い塩はミネラルが豊富で健康な身体づくりに必要な成分が多く含まれています。」と、地元の塩を通じてその役割をしっかりと伝えながら、「身体に必要なエネルギー源」という新たな塩のイメージの構築を目指している。また、塩は農林水産物と相性が良いことから、新塩シリーズの商品展開の拡大にも期待が持てる。「今後もさまざまな県産品を使った塩を開発していきながら、県内で唯一の塩の産地として県民に愛される塩を作っていきたい。」と今後の抱負を語った。

 


代表取締役 駒嶺 剛一さん

駒嶺商店の塩工房では、廃材や間伐材を使って薪を焚いているほか、その排熱を活用してウニの殻を使った肥料を製造するなど、資源の再利用やエネルギーの有効活用にも積極的。創業以来、津軽海峡の恵みを生かした水産物の加工、販売に取り組んできた駒嶺商店は、限りある資源を最大限に活用しつつ、これからも新たな商品を創り出していく。


支援者からのコメント

地元で失われつつある食材・食文化等の継承を使命だと考える駒嶺社長が何度も試作を重ね、その思いが形となり「海峡の塩シリーズ」が完成しました。下北半島からの食の発信を今後も楽しみにしています。

 

  1. 企業プロフィール

    1. ■企業名/株式会社駒嶺商店
    2. ■所在地/風間浦村蛇浦新釜谷2-3
    3. ■TEL・FAX/0175-35-2211・0175-35-2077
    4. ■代表者名/代表取締役 駒嶺 剛一
    5. 資本金/1,000万円
    6. 設 立/創業昭和34年4月、法人成り昭和45年6月
    7. 事業内容/水産加工、活魚、仕出し料理
    8. 活⽤補助事業/平成31年度21あおもり未来チャレンジ助成事業
    9. ■ホームページ/http://komamine.co.jp/
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