株式会社ホーデック

未利用資源を活用し、地域へ恩返しを

　こだわりが詰まった高価格商品に狙いを定め、商品開発を行ってきた同社。消費者の健康意識の高まりに着目して開発を進めた今回の商品であるが、渋柿を活用するアイディアは、取得した農地にたまたま生えていた柿の木を見て思いついたことなのだそう。「特に使い道もないため放置していましたが、ただただ腐っていく渋柿を見て活用方法はないかと考えるようになったんです。」調べてみると、近隣でも栽培農家は多い一方、出荷しても売価が低いため、同じように放置しているということが分かった。「この未利用資源の活用は、地域にとてもメリットがあると考えたんです。どうせ捨てるもの。収穫もこちらで行えば、格安で仕入れることができるし、相手は捨てるはずだったもので手間もなくお金を稼ぐことができる。」栽培技術や農法など、今まで快く教えてくれた地域の人たちへの恩返し。そんな想いも込めて今回の事業を進めた。

助成金が挑戦を後押し

　助成金を試作品の開発に係る経費や市場調査に係る経費として活用した同社。申請に当たっては、公募要領を隅々までよく読込み、疑問点は事務局に都度確認しながら事業計画を策定した。事業の予定期間はおよそ10カ月。途中、コロナ禍等を背景とした世界的な原料不足により、試作パッケージに使う材料が手に入らなかったことから計画変更を余儀なくされた。最終的に事業期間は2カ月伸びて丸一年となったものの、なんとか納得のいく試作品を完成させることができた。「もちろん成功させる自信はありましたが、新商品開発には失敗も今回のような不測の事態も付き物。投資したものがすべて無駄になることもあり、全額自己資金はリスクが大きい。助成金活用により新たな取組に対するハードルはグンと下がりました。」とそのメリットの大きさを感じているようだ。

「儲かる農業」のモデルを若者に示したい

　これからの日本の産業は「食と農」にあると考える吉田社長。「とりわけ青森県の農業は全国でもNo.1のアドバンテージを持っている。」という。ただ一方では「原料生産県に止まっているのが課題。加工や販売にも力を入れる必要がある。」とも。
　コロナ禍で一度は頓挫したものの、同社はASIAGAPやHACCP の認証取得などにより海外への進出も見据えている。「青森県の農業で儲かる姿、成功例を若い世代に見せたいんです。」会社に相談に来る地域の若手農家たちには生産・加工からマーケティングまで自身が持つノウハウを惜しみなく伝える。自社で雇用する若手社員には早い段階での独立を促す。「社名のホーデックは『群れ』を意味するhordeから。仲間と共に青森県の農業を変えたい。」と力強く語った。

代表取締役　吉田 匡宏さん もともとは起業を目指す若者への支援を行っていた吉田社長。新規就農や営農に関する相談が多く、自分自身でやってみないとアドバイスできないと考え、就農にチャレンジした。「出る杭は打たれるが、出きった杭は打たれない」がモットー。「新商品も売上目標を高く設定して取り組んでいきたい。」と語る。

取材担当者からのコメント